製品情報

内圧コントロールバルブ

なぜエンジンの内圧を制御するのか?

レシプロエンジンでは常にピストンが上下動を繰り返しています。
そしてピストンをつなぎとめているコンロッドとクランクはクランクケースに収められています。
単純に考えればピストンが下がればケース内が一時的に高圧に、ピストンが上がれば負圧になります。
市販エンジンにはこの圧力の変動を吸収するためにクランクケースにブリーザー穴が開けられており、ピストン下降とともに高まった余剰圧力は排出され、ピストン上昇とともに再び外気を吸い込むようにできています。
ブリーザーによってクランクケース内は一定の気圧に保たれる・・・と考えられがちですが、実際にはピストンの上の燃焼室では絶えずガスが燃焼を繰り返してピストンを押し下げています。 その超高圧のガスがクランクケース内に流れ込まないようにピストンにはピストンリングがはめ込まれてはいますが、どうしても一部のガスがリングを通り抜けて(吹き抜けて)クランクケース内に入り込んでしまいます。

これをブローバイガスと呼びます。そうしてクランクケース内はこのブローバイガスによって圧力が高まります。
圧力の高まったケース内にピストンが下がろうとすれば、当然強い力で反発を受けてしまいます。これがいわゆる「ポンピング・ロス」と呼ばれる抵抗です。
(ブリーザーからこのブローバイガスは排出されますが、ピストン上昇と共に空気をどうしても吸ってしまうため、クランクケース内の圧力は高止まりしてしまうのです)
クランクケースが高圧になってしまうとこのポンピングロス(=エンジンブレーキ)により出力の損失を生じるため、クランクケース内は減圧されていることが望ましいのです。

図1

 

エンジンの内圧を下げることの効果

クランクケース内を減圧したときに、よく誤解されるのは「ピストンが下がる場合にはケース内が減圧されていると抵抗が減るが、ピストンが上がる時には逆に負圧になって抵抗になる。プラスマイナスすれば抵抗は変わらない」と言うものがありますが、実はこれは正しくありません。
なぜなら空気とは『伸張させるより圧縮させる方が抵抗が大きい』からです。

右図のように先端をふさいだ注射器などで実験してみるとよく分かると思いますが、空気を入れた注射器を押すのと引くのでは抵抗がまるで違うことに気付くはずです。
もちろん引くほうが小さな力ですみます。
これはピストンが上昇する時と同じと考えられます。

たとえピストン上昇時に+1の抵抗があったとしてもピストン下降時に抵抗値が-2になればトータルで-1になる……と言うのは些か乱暴な理屈でしょうが、イメージはしやすいのではないでしょうか。

 

図2

また、単気筒では確かにクランクケースの容積が変わってしまいますが偶数多気筒エンジン(2気筒・4気筒・6気筒など)で逆位相クランクを持つものは、一つのピ ストンが上がったときに隣り合うピストンが下降するためクランクケースのエアボリュームがバランスする筈だという理屈がありますがこれも必ずしもそうと断言はできません。

なぜなら慣性力を持った空気が狭い隙間をぬって移動する速度は限りがあるからであり、ケース内のエアフローを考慮したエンジンはまだまだ少ないからです。 無論クランクケース内の空気が動かなければ多気筒とは言え単気筒の集合同然で、ポンピングロスが生じてしまいます。以上のことを踏まえて、クランクケース内をあらかじめ減圧しておくと言うことは、レシプロエンジンの効率を高める上で効果があると考えられるのです。

 

クランクケース内圧コントロールバルブのしくみ

当社が開発したクランクケース内の圧力を適正化するためのワンウェイバルブです。
構造は非常にシンプルで筒状のアルミボディの中に樹脂製のワンウェイバルブを設け、ブローバイガスを排出させるが外気を吸入しないようにしてクランクケースを密封することで結果的に内圧を下げています。
機械的・電気的動力をなんら用いず、クランクケース内に発生するブローバイガスの脈動のみを使ってバルブを作動させるため、摩擦係数の小さな素材を吟味し、軽量でかつ耐久性、耐熱性に優れたポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂を削り出してスライドバルブとしています。

耐熱性、熱膨張率などを考慮するならボディと同じアルミで作るべきですが、摩擦抵抗が桁違いに小さくなる樹脂バルブの選択は減圧効果を得るためには必然と言えます。
また、最新型車両の中にはコントロールバルブの取り付け位置が著しく制限されるものもあります。そうした中、スプリングなどの補助動力を用いずにあらゆる角度で取り付けても確実に動作するようにバルブ形状は日々改良を重ねられています。(レース専用品、または車種専用品の中には取り付け角度に制限のあるものがあります。詳細はお問い合わせください)

クランクケース内圧コントロールバルブの効果と注意点

図3


 

ブローオフバルブ(エアボックス内圧コントロールバルブ)とは?

昨今、出力向上や出力特性向上のためにスーパースポーツモデルでは走行風を過給に用いる「RAM圧過給」が一般的になりました。走行風をエアボックスに導入して圧力を上げ、燃焼室に押し込んでしまおうと言う発想です。(図1) この方式ではブリーザーがエアボックスとつながっている為、スロットルを閉じた時にクランクケースに空気が流れ込んでクランクケース内圧が上がってしまいます。(図2)

図版

ここに内圧コントローラーを取り付けるとエアボックスの圧力で内圧コントロールバルブが上手く作動せず、またスロットルを閉じた時にクランクケースにも空気が流れず、パイプがはずれたりエアボックスが破損する場合があります。(図3) 過剰な圧力がエアボックスに掛からないようにする為、RAM圧過給車にはエアボックスの圧力を適正化する「ブローオフバルブ」の取り付けを強く推奨しております。(図4) 取り付けには穴あけなどの加工が必要な為、取り付けにあたっては当社または特約店へご相談ください。

図版

取り付け上のご注意

内圧コントローラーを取り付ける場合はナイロンストラップ等で固定してください。
ねじ式ホースバンドで過度に締めこむとアルミ製のボディが歪み、バルブの動作不良を起こす場合があります。

二輪用取り付けガイド

Pagetop